帰る前に琴ちゃんの部屋をのぞいた

「あっ、お兄ちゃん」

「もう元気になった?お姉ちゃんが熱でてるから時々熱のシートをかえてあげてね」

「どうしよう、琴のせいだ」

「誰のせいでもないよ、外にはでないようにね」

「うん」




「ただいま」

「おかえり」

「あれ?今日も仕事休んだ?」

「何時だと思ってんの?」

「菜々美を送って行った……熱出てたから」

「テストは受けれたの?」

「弟が休んでくれて来たけど午後からしんどかったらしい……
家行ったら弟も少ししんどいって」

「弟はいくつ?」

「中学1年……明日1時間早く起こしてよ
様子みてから学校行くから
風呂入ってくる……ふぅ」



次の日海斗の母親は菜々美の家に行った

インターフォンを押すと子供の声がした

「あの、海斗の母です」

「お兄ちゃんは学校に行きました」

「菜々美さんの具合はどう?」

「熱があります」

「私ねお姉さんを病院に連れて行ってあげようと思って来たの」

「……」

しばらくすると玄関が開いた

「お兄ちゃんのお母さんなの?」

「そうよ、お姉さんには会った事あるから信じてくれると思うわ」

「待ってて下さい」

琴が菜々美を連れてきた

「お母さん、どうして……あっ、伝染るんで」

「しんどいでしょ、弟さんは?」

「休んでます」

「熱だけでも下げた方がいいと思うのよ」

「でも、そこまで甘えられないです」

「海斗がね、自分が何も出来ないことに苛立ちをおぼえてるわ

きっと菜々美さん家族が大事なのね
私にも頼ってもらえないかしら……」