もしこの気持ちを伝えたなら

「何のことだ?」

俺は悟られないようにあくまで平然を装う。

「ふーん、まぁいいや。テスト頑張れよ」

背中をぽんっと押して光輝は行ってしまった。お前もなと思ったが、言葉にはしなかった。あいつはたいてい何でもできる。おそらくまあまあの順位をとるだろう。
頑張らなくてはいけないのは俺の方だ。周りの期待に応えなくては。

「よし」

両頬を手のひらで二度叩き気合いを入れる。そして少し早歩きで教室に向かった。
窓から吹き込んだ風が少し冷たかった。