ヤンキーとお姫様


「ねぇ、一輝…一輝…一輝!」



「…ん?なに?
どっかわかんない?
ごめん、ボーッとしてた」



「んーん…
ずっと私の顔見てたから…
一輝、最近、私のこと見てるよね?」



ドキン…



「え、そぉ?
気のせいだろ…」



「そぉかな?
今は、見てたよね?
絶対見てたよね?
ずっと名前呼んでるのに上の空だったし」



ドキン…



「あー、うん…見てたかも…
姫香、寝ると悪いから見てた
オマエ、すぐ寝るじゃん!」



ホントは

かわいいな…って

見てたんだ



ねぇ、姫香…



ごめん

好きだわ



え…



オレの心の声

聞こえた?



姫香がオレの手を握った



ドキン…



「…なに?」



「ん?なんか、安心する
一輝の手…安心する」



どんな意味?



「姫香、なんかあった?」



「んーん…何もないよ」



姫香がオレの手を弄ぶみたいに動かした



「なに?」



その手に視線を移した姫香の目は

表面張力で

今にも溢れそうなくらい

涙を溜めてた



「姫香…

…やめろ」



姫香の手から

オレの手をそっと引き抜いた



姫香がゆっくり顔を上げた



姫香が下唇をギュッて噛み締めたら

堪えてたものが溢れた



「ごめん!姫香」



慌てて姫香の手を握り返した



「アレ…なんだろ…
別に…一輝は悪くないよ
謝らないでよ

私、泣いてる?
なんでかな…

変だね、私…
おかしいね…

…ごめんね…」



オレが握った手を引き抜いて

姫香は両手で涙を拭った