「あー…よかったね…」



「…うん…」



「もぉ1回聴こう」



「うん…」



何回でも聴いてよ

聴いてる間は姫香はオレの横にいてくれる



さっきは

学校で話しかけて来ないでね!

なんて言ったくせに



新曲の発表が楽しみじゃなくて

姫香がオレの近くにいてくれることが楽しみ



キモ…

オレ



「ねぇ、コイツらもピアスしてるし
変な髪の色してんじゃん
なんでコイツらはカッコイイのに
オレはダメなの?」



「んー…
一輝は、別にダメじゃないけど
うちの学校にいたら浮いちゃうよ
私は嫌いではないけどね
似合ってると思うし…」



そう言って姫香は
また画面の中のアイツらに夢中になった



似合ってる

褒めてる?



嫌いではない

ビミョー



姫香は

ドキドキしないの?



こんなに近くにいるのに



夢中になりすぎて

オレ達どんどん近くなってるけど…



ドキドキ…

ドキドキ…

ドキドキ…



「ん…?」



姫香が画面から顔をあげた



「ん???」



え…



目合ってるけど…



え…



「一輝…」



「ん…?」



「一輝、もぉ1回聴きたい?」



「え?」



「聴きたいんでしょ」



なんだよ



「うん…じゃあ、聴く」



もぉ何回でも聴いて!

オレの隣で



姫香

オレの胸の音

聞こえてないよね?



かわいいな…って

ずっと想ってる



この気持ちは

たぶん

一生伝わらないのかも