ヤンキーとお姫様


「姫香…」



「ん?」



「椎那…やめなよ」



「え…?意味わかんない」



「椎那と…
アイツと…別れなよ」



「なんで?
なんで、そんなこと一輝が言うの?
ひどいよ!」



「アイツ、
姫香が思ってるようなヤツじゃないかも…」



「一輝、もしかして…
ヤキモチとか?
そんなわけないか…
とにかく、瑞樹のこと悪く言わないで!」



「ヤキモチでもなんでもいいよ
オレなら姫香のこと泣かせたりしない!
絶対守る!」



姫香が笑った



「私、泣いたりしてないよ

嫌がらせとか別に気にしてないよ」



違う



本当の椎那を知ったら

姫香

きっと泣くかも



今日のことが嘘だとしても

椎那は

姫香に本気じゃない気がする



本気だったら

彼女以外の女と映画行くかな?

しかも本気の彼女のライブ断わって



今日のことが本当だったら

椎那

サイテーだよ、オマエ



オレは許せない

嘘でも本当でも



オレが姫香に全部話したら

オレが泣かせることになる



言えない



ごめん

姫香



「今日、月が綺麗だね」



月の光が姫香に当たって

姫香が連れて行かれそうな気がした



「姫香…」



また姫香の腕を掴んでた



「あ…ごめん…
痛かった?」



「んーん…」



姫香が首を振ったらいい匂いがした



「一輝、保護者ぽいね!」



姫香が笑った



「え?」



「私のこと心配してくれて…
今も私の手、掴んでくれてる」



「…うん」



「ありがと」



ホントは掴むんじゃなくて

繋ぎたいよ



アイツみたいに

椎那みたいに

姫香の手

繋ぎたい



でも今は

姫香がどこかに行かないように

姫香が連れて行かれないように

掴んでおくことしかできない