ヤンキーとお姫様


「ねぇ、一輝!」



「なんだよ、いきなり…
ノックしろよ!」



ハダカだったら

どーすんだ?



まぁ

一緒に風呂も入ったことあるけど…



変な動画見てたりするかもしれないし…



「あのさ…
椎那(しいな)先輩って、どんな人?」



「椎那…?って…生徒会長の?」



「うん」



「どんな…って…
3ーA特進クラス
顔はまぁまぁ、身長は高め、サッカー部…」



「身長は177!体重65」



「勝った!オレ、178!」



「顔は、まぁまぁじゃなくて
かっこいい♡」



「へー…姫香、あーゆーのタイプ?」



「うん、タイプっていうか…
かっこいいな…って…」



「しかも、オレより詳しく知ってんじゃん!」



「うん、今日調べた」



姫香

もしかして

オマエ、恋してる?



「アイツは、やめとけよ!」



「え?」



「好きなのか?アイツのこと」



「んー…うん…」



やっぱり?



グサ…



「なんか、あったの…?
アイツよりかっこいいヤツなんて
いくらでもいるだろ」



「今日ね
私がひとりで整備委員の仕事してたら
手伝ってくれたの」



「へー…
それはさ、生徒会長だからだろ」



「そぉかもしれないけど、優しい」



グサ…



そんなことで姫香が好きになってくれるなら

オレも手伝ってたけど!



「1年の時って、
3年生がかっこよく見えたりするよな…」



「うん…かっこいい…」



グサ…



オレも3年生だけどね



姫香

うっとりしてる


恋してる顔



マジ?



椎那?



「あ、けど、
自慢してもいい?」



「なに?」



「オレ、身長も勝ってるけど
成績も1年の最初のテストは
アイツより良かった!
アイツが学年5位でオレが3位!
すごくね?」



どお?



「姿勢悪いから一輝の方が低く見えるし
仮に姿勢良くして一輝が高く見えても
高ければいいってもんじゃないし
成績だって最初の1回だけでしょ
しかも5位でも充分すごいよ!
さすが椎那先輩!」



グサ…グサ…



「え…
それって、オレの立場なくない?」



仮にオレが1位だったとしても

姫香は椎那を選ぶだろう



「けど、一輝もすごいんだね
そんな頭良いと思ってなかった」



グサ…



失礼すぎる

コイツ



オレが受験勉強教えただろ!

それで受かっただろ!



アレ…

椎那って彼女いたよな?

確か…先輩

大学生と付き合ってるはず



「とにかく
椎那は、やめたほうがいいよ」



「なんで?
なんで、一輝がそんなこと言うの?」



「んー…男の勘」



「なに?それ…
椎那先輩、かっこよかったな♡」



グサ…



もぉダメか…



「椎那、年下とか興味なさそうだな…」



「そーなの?」



「んー…そんなカンジする
もっと大人っぽくて…女らしくて…」



「じゃあ、頑張る!
私、かわいくなる!
それで椎那先輩に告白する!」



え…


火に油注いだ?



「別に頑張らなくていいよ!」



「え!なんで?」



「別に…頑張っても…ムダだろ…」



「ひどい…
一輝のバカ!」



バタン…