まるでSFのようだった

僕らが入隊して1年と半分が経った日、同期は僕と彼女の2人だけになった。

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首筋に刃を立てて、力を込めて引き裂く。
何度繰り返しても、人間や動物を切り刻むのとは訳が違う、気持ち悪い感触が掌に伝わってくる。
何度も繰り返した作業でも、僕は所謂“気”が何なのかさっぱり分からなかった。

要は《彼奴らを殺す》と強く念じて刀を振るえば良いのだと、指揮官が言っていたことしか覚えていない。
それさえ覚えておけば、別段と困ることは無かった。

先刻自分が倒した1匹を最後に、周辺1キロから彼奴らの反応が消え去ったことを確認して、顔を上げる。

見慣れた阿鼻叫喚が、広がっていた。

本当に生きていたのかと疑ってしまいたくなる骸の中に、見知った顔を見つけてしまって、思わず眉根を寄せて顔を晒す。

同室の男子だった。

愛想のない僕の代わりに人脈やら何やらを築いて、口数が少ないせいで誤解されやすい僕を、よくやんわりと、角の立たないように庇ってくれた。

僕の好きな食べ物は彼の嫌いな食べ物で、気を抜いている隙にお皿に押し付けられていることなど日常茶飯事だった。

悪戯好きな彼に巻き込まれて、よく僕も悪戯の共犯にされた。

救世主だと崇め立てられた僕たちは、普通のガキだった。