「ずる賢いのか、俺が気を引いてノワールが攻撃するタイミングがわかってるみたいだ」

リオンとそんなことを話していると、また攻撃をされる。尻尾をうまくかわして避けたつもりだったけど、かすってしまったらしく、頬に血が伝った。

「ノワール、手当てするよ」

メルキュールがすぐに回復魔法を唱える。メルキュールはすごい。遠くから防御魔法で僕らを守りつつ、怪我を誰かがしたらすぐに気付く。そのおかげで、僕たちは何度も立ち上がって戦える。

でも、怪我が治ったからといって体力が回復しているわけじゃない。僕たちは余裕そうな顔をしているけど、その顔には疲労の色が見え始めている。

その時、またゾンビがどこからともなく現れ始め、エリカが「またあのネクロマンサーさんが出したのね……」と呟く。僕は剣をギュッと握り締め、「エリカは少し休んで」と微笑んで走った。

剣を素早く動かし、ゾンビたちを斬り付けながら物の怪へと突っ込んでいく。早くこの物の怪を倒して外の世界へ戻ろう。