私ももし、七瀬くんに自分の気持ちを伝えてしまったら……。

さっきの岡田さんのようにボロクソ言われて失恋してしまうのだろうか。


『地味だからムリ』

とか

『その冴えない見た目どうにかしたら?』

とかとか…。


色々言われて精神ズタボロにされるんじゃ…?

恐ろしいことを考えてしまい、思わず身震いをする。



「……で、きみは何やってんの?」



隣の方から聞き覚えのある声がして、反射的に顔を上げる。


「…えっ!!??」


なんと、あの七瀬くんが私に話しかけているではないか。


「えっおっ、なんっ…何で、わかって……」


挙動不審にそう言うと私を見下ろす黒い瞳が細められる。


「何でって、顔おもいっきり覗かせてたじゃん」

「っ…!!」


何も言い返せず口籠っていると七瀬くんは「…まあ、いいや」と呟き、気怠そうに歩き出す。


「あ、あのっ…!」


咄嗟に声をかけると七瀬くんはピタリと足を止めてこちらに振り向いた。

眠たげな瞳に自分の姿が映される。