「あはは、顔真っ赤じゃん。
何、遠坂さんバレてないとでも思ってたの?昼休み七瀬くんと話してた時、目輝かせてすっごい嬉しそうな態度出してさ」


中条くんは目の前までやって来て見下ろすように私をじっと見つめ、


「……今までそんな顔しなかったくせに」


「───…えっ?」


表情を笑っているのにどこか寂しそうな、または悲しそうな瞳でぽそりと呟いた。


「中条くん、今なんて……」


もう一度聞こうとしたが、中条くんは答えようとしてくれず、

「んじゃ、オレ帰るね!また明日〜」

にっこり笑顔で駅の中へと消えて行った。


「ま、待って!中条く──」

「遠坂さん…っ」


中条くんの後を追おうと足を一歩踏み出した時、誰かに名前を呼ばれたと同時にぐいっと腕を掴まれた。

何事かと振り返ると、


「えっ!?な、七瀬くん!?」


走ってきたのか、少し息を切らした七瀬くんが現れた。


「どどど、どうなさって…!?」

「…駅前の信号待ってた時に遠坂さんと昼休みに会った人が見えて…なんか、2人の距離が近かったから心配で……」


ぽかんとしながら息を整えている七瀬くんを見つめる。