誤解されている上に貶されてしまった。
いや、冴えない見た目をしているのは自覚しているけども。
私と七瀬くんが付き合っているという疑惑が出ていることに驚いた。
「オレ、初めて喋ったけど、近くで見ると顔面国宝級レベルだったわ〜。さすがイケメンだよな」
最後に「ま、オレも負けてないけど☆」と付け足し、わはは!と笑う。
「でもなんかさっき七瀬くんに睨まれた気がすんだよね〜」
中条くんはうーん、と唸るように首を傾げた。
「…七瀬くんって睨むの?」
「睨まれたかどうかはわかんなかったけど、なんか不満げな顔してたよ。…ってか、2人仲良いんじゃないの?」
「いや、友達だけど、そこまで仲良く…はない…よ」
果たして、私と七瀬くんは仲良いのだろうか…。
私の一方的な片想いであり、あっちは"友達"としてしか思われていない。
「んじゃ、遠坂さんと七瀬くんは付き合ってないってことだよね?」
「付き合ってるわけないよ。中条くん顔広いんだから誤解だって言っといてよ」
「了解〜」
『でもなんかさっき七瀬くんに睨まれた気がすんだよね〜』
ふと、脳裏に中条くんの言葉が再生される。
七瀬くんが中条くんを睨んでいた?
そもそも睨む理由なんてあったかな?
基本顔に出ないから何を考えているのかよくわからない人だし…。
うん、きっと中条くんの見間違いだ。
そうに違いない。
七瀬くんが人を睨むわけないもん。


