七瀬くん、恋をしましょう



「こ、こんにちは!昨日ぶりですね!」


朝から七瀬くんをお目にかかれなかったものだからなんか、今すごく嬉しいな…。


「…ノート運んでるの?」

「はい!今日私日直なんです!」


この前も日直させられてた気がするけど、七瀬くんに会えたからもうなんでもいいや!


「運ぶの手伝おっか?」

「ええっ!?」


あの面倒くさいことは絶対にやりたくない精神であろう、七瀬くんが主体的に手伝おうとしている…!!

明日、槍が降るのでは?(大分失礼)


「中条くんが半分以上持ってくれてるので大丈夫ですよ!お気遣いありがとうございます!」

「…ふーん」


七瀬くんがちらっと横目で中条くんの方を見る。

目が合った中条くんは「ども〜」と軽く会釈した。


「遠坂さ〜ん、腕疲れてきたから早く教室持ってこ〜」

「…あっ、うん!
で、では七瀬くん、私たちはここで失礼しますね!」

「……うん」


七瀬くんに笑いかけて、止めていた足を動かし、再び歩き出す。

しばらくすると中条くんが「ねえねえ」と話しかけてきた。


「遠坂さん、七瀬くんと付き合ってんの?」

「……ん??」

「噂になってるよ。あの七瀬くんが遠坂さんみたいな冴えない女子と一緒に帰ってる所見たって」