七瀬くん、恋をしましょう



ー終業式ー


全校生徒が体育館に集まり、校長先生や生活指導の先生の話など、生徒たちは退屈そうに聞いていた。

しばらくして終業式は終了し、教室に戻るために体育館の入り口付近は学年問わず生徒で混雑している。


『汐莉、今日カラオケ行こうよ』

『うん!行きたい!』


1ヶ月に一度は必ずやって来る月の物も終わり、体調は絶好調。

絢ちゃんの誕生日も(3日遅れで)無事に祝うことができた。


『あ、汐莉見て。七瀬くんだよ』

『……七瀬くん?』


絢ちゃんの視線を辿るように私も彼女と同じ方角を向く。


『知らないの?汐莉が貧血起こして保健室まで運んでくれたじゃん』

『…あ、あんな顔立ちの綺麗な人なんて知り合った記憶ないよ?』

『……やっぱり覚えてなかったか〜。
汐莉が生理で倒れた時、あの七瀬くんが保健室まで連れて行ってくれたらしいのよ』

『えっ…』


あのかっこいい人がわざわざ親切に保健室まで…?


『何かの間違いでは…?』

『間違いじゃないよ。ウチが慌ててあんた追いかけに行ったらちょうど保健室で七瀬くんとばったり遭遇してさ、「きみのお友達運んどいたから」…って真顔で報告してくれた』

『ええ〜…』