『……お腹痛いから保健室でお薬貰ってくる……』
『わかった、1人で大丈夫?』
『ん、平気』
絢ちゃんから離れ、がっくりと肩を落としながら教室を出て保健室へ向かう。
いつもより体が重く、お腹の痛みも増していく。
そしてトドメを刺すかのように気分も悪くなってきて、目眩もしてくる。
壁に手をつき、体を預けながら廊下をゆっくり進んでいく。
…まずい、視界が暗くなってきた。
このまま歩いていると倒れてしまうと思い、その場にしゃがみ込み、荒くなった呼吸を整える。
痛い、苦しい、気持ち悪い。
あまりの体の辛さに限界が来て意識が朦朧としてきた時───…
『───大丈夫?』
どこかから優しくて、温かい声が降ってきた。
顔を上げると誰かが私に話しかけている。
だが、返事をする気力もなく、視界に映される人物のシルエットをしばらく見つめ、私はそのまま意識を失ったのだった。


