『あぁ、貧血で倒れかけてた子?』
『あ、はい。そうです…』
『もう大丈夫なの?』
『は、はい。今はすこぶる元気です』
眠たそうな瞳は変わらなかったが、どこか優しげな表情で彼はフッと笑う。
『元気になってよかったね』
『はい、おかげさまで…』
『友達の誕生日は祝えた?』
『え…?あ…はい…』
『そっか』
あれ、友達の誕生日を祝ったこと、なんで知ってるんだろう。
───でもそんなことより、お礼言わなきゃ。
つい教室を飛び出したけど、何を言うのか全く考えずに彼を全速力で追いかけてきてしまった……。
だけど、『ありがとう』ときちんと伝えたい。
『ねえ、ちょっと手出して』
『えっ…』