「絢ちゃん…」


涙目で絢ちゃんに助けを求めるが…。


「よかったね、汐莉!ずっと七瀬くんのこと気になってたもんね!報告待ってるよ!」


絢ちゃんが珍しく私の思っていることに察してくれず、がくりと肩を落とす。


「ごめんね、あやちゃんさん。遠坂さんをお借りします」

「あははっ!"絢ちゃんさん"て!
どうぞどうぞ!汐莉をよろしくお願いします!」


何故だ絢ちゃん。

何故今日に限って察してくれないんだ、絢ちゃん…!!

私が落ち込んでたり、悲しんでいたらすぐに気づいてくれるのに……!


「行こう、遠坂さん」

「えっ!?」

七瀬くんに腕を掴まれ、半ば強制的に歩かされる。


「汐莉!おめでとう!」


満面の笑みで手を振る絢ちゃん。


ごめん、絢ちゃん。

おめでとうって状況じゃないのだよ。

今から良い報告じゃなくて悪い報告になるんだよ。