「ど、どうしたの、絢ちゃんっ…!」

「七瀬くんが汐莉のこと呼んでるよ〜」

「……は?」


ドクンッと心臓が大きく飛び跳ねる。

慌てて絢ちゃんの元へ駆け寄ると、


「あ、遠坂さん」


教室の扉の前には無表情で手を振る七瀬くんの姿が。


「っ、ひょおっ…!!??」

「やるじゃん汐莉。いつから七瀬くんと仲良くなったの?」


顔を青ざめる私を他所に絢ちゃんはぽんっと肩をたたいてくる。


「ななななんっ、なんっ…なんで……何しに……」

「ちょっとあんたスマホのバイブレーションみたいに震えてるけど大丈夫そ?」


絢ちゃん、全然大丈夫じゃないんだよ。

寧ろ私、大ピンチなんですよ。


「遠坂さん、今日暇?一緒に帰らない?」


一切表情が変わらない七瀬くんとは反対に私はこの世の終わりのような顔をしているだろう。


一緒に帰ろうと誘ってきてくれたということは、告白の返事に違いない。

七瀬くんのことだからきっと記憶になかったと思っていたが、さすがに覚えていたか……