意外と素直に謝る七瀬くんに少し驚きつつ、なんとか心を落ち着かせる。
「遠坂さん話したことなかったのに俺のこと説教してくれて……なんか、あれだね。お母さんみたいだね」
「おかあさん……」
全く嬉しくないのですが……。
好きな人にお母さん認定をされ、複雑な気分になる。
「私は…七瀬くんにはお母さんじゃなくて、女の子として見てほしいです」
「……なんで?」
「何でって、そりゃあ私が七瀬くんを好きだか、ら───……ん?」
待って待って待って。
今、私なんて言った?
思いきり"好き"って言ってしまったような───…?
口元を手で覆い、チラッと七瀬くんの方を見る。
───すると、
「遠坂さん、俺のこと好きなの?」
しっかりと私の発言を聞いていたらしく、驚いた顔でそう言った。
ゴヒュッ……(喉が鳴る音)
一気に冷や汗をかき、ニコッと笑顔を浮かべる。
───オワッタ……。
過去に戻れる道具ってあったっけ…?
現実逃避を考えてしまう程、頭は混乱状態だった。