「何でだめなの?」
不思議そうに首を傾げる七瀬くんの反応に「はあん?」とガン飛ばしそうになる。
「七瀬くん、人の気持ち考えたことあります?大体、好かれてもいない相手に『付き合おう』だなんて言われてもちっとも嬉しくないんですよ!!」
「ご、ごめん…」
今度は私が七瀬くんを壁に追い込み、自分でもよくわからない説教をする。
「ごめんで済むような発言じゃないんですよ!!七瀬くんは"付き合う"って言葉の意味をご存知ですか!?まあ、知らないでしょうから教えてあげますけども、付き合っていうのは!お互いが!好き同士だから!恋人同士になるから!付き合うんですよ!!人と人が交際をするんです!!」
またもや息を荒げ、呼吸を整える。
"付き合う"という言葉は他にも違う意味があるんだけども。
高校生くらいの年代からすれば、付き合う=交際するという考えを持つ人が多いからそっちの意味で説明しただけであって……。
私は一体誰に言い訳をしているんだろう。
「と、とにかく!七瀬くんは今みたいに『ちょっくらコンビニ行く?』みたいなノリで付き合おうだなんて発言はやめてください。七瀬くんを好きな人だったら絶対勘違いしちゃうから……」
「うん、わかった。ごめんなさい」


