「…っ七瀬く───」


一瞬だけ唇が離されて口を開いた時、口内に生温かいものが滑り込んできた。


「のわぁぁぁぁっ!!??」


あまりの驚きで女の子らしくない叫び声を上げて、勢いよく七瀬くんを押し退けた後、スライディングのごとく壁際へと逃げた。

爆発しそうなくらい体は熱く、心臓はドクドクと、早鐘を打つ。


「ななな七瀬くんっ…し、舌っ、入れましたよね!?」


口元を手で覆いながらそう聞くと、七瀬くんは表情を一切変えずにコクリと頷く。


「まだ先っちょしか入れてなかったんだけど」

「言い方っ!!!」

「はいはい。……で?どうする?」

「えっ…?」


七瀬くんが私の前にしゃがみ込む。


「ど、どうするって…」

「続き、する?」

「続き……」

「汐莉に名前呼んでもらって、キスしたらスイッチ入っちゃったんだけど」


じっ、と熱を帯びた瞳に見つめられる。