「脱がすけど、いいの?」
「へ、変態…っ!」
「お年頃なんだからしょうがないじゃん」
な…なんて強引なの。
恥ずかしさと驚きが入り混じり、観念した私はゆっくりと口を開く。
「ゆ…ゆいと、くん…」
蚊の鳴くような声でそう呼ぶと…。
「聞こえなかった、もう一回」
「鬼ッ!!!」
「だって本当に聞こえなかったんだもん」
そう言ってる割には口角が少し上がっているような…。
「ほら言って、汐莉」
「っ…」
「こっち見て」
両手で頬を包まれて、顔を上げさせられる。
真っ赤な顔の状態で七瀬くんと視線が絡み合った。
今日の七瀬くん、意地悪だ。
「…唯人くん」
今度こそ彼に聞こえるように呼ぶと七瀬くんはフッと笑って。
「よくできました」
「んっ…」
そっとキスを落とした。
「……」
離れようとしたら後頭部に彼の手が回されていて身動きがとれない。
「んんっ…」
いつもは触れるだけのキスしかしないのに、今日はなんか…長い。
だんだん息が苦しくなり、七瀬くんの胸を押し返すがびくともしない。