『遠坂さん』

『何ですか?』

『靴下裏返ったまま干してあったんだけど』

『あぁ…、でも私何回も言いましたよね?靴下裏返した状態で洗濯機入れるなって。めんどくさいのでそのまま干してやりましたよ』

『むむむ…』


ーーー
ーー


「───っていう感じで遠坂さんと新婚夫婦みたいな会話をする夢を見たんだよね」


七瀬くんが珍しく教室に遊びに来てくれて何事かと思ったら、突然夢の話をし始めて「そうなんですか…」と相槌を打った。


「…あの、七瀬くん」

「ん?何?」

「今話してくれた夢、実現することは可能ですか?」


我ながら恥ずかしいことを言ったと思う。

顔に熱が集まっていく中、七瀬くんの返事が返ってこなかったので様子を窺う。


「…七瀬くん?」


表情はあまり変わっていなかったが、ぽかんと口を開けて固まる七瀬くん。

しばらくしてハッと我に返った七瀬くんは、

「…あ、えっと、幸せにします(?)」

と一言。



「(…何、この会話)」



一部始終私たちの話を聞いていた絢ちゃんは心の中でそう呟いた。


(つづく)