友達でもない人が振られたのを目撃しただけなのに、何で私はこんなことを言っているのかわからないけれど。

───だけど、

例え関係がなかったとしても、黙ってはいられなかった。


「な、七瀬くんは、これまでさっきみたいに女の子を何人もこっぴどく振ってきたのかもしれないけど、恋をする女の子は男子が思っているより何倍も可愛くて輝いていて、綺麗なんです…!!だから、女の子の努力を否定するようなこと、言わないでください…!!!」


はあ、はあ…。


自分にしては珍しく大きな声を出しまい、息が荒くなる。


い、言ってやった…!!

別に私、七瀬くんに何も言われてはいないけども。


…ってゆーか七瀬くん、喋ったこともない女子にいきなり説教されて『何だこいつ』とか思ってそうだな……。


「…俺、さっきの人貶したつもりで言ったんじゃないんだけど」

「……へっ?」


思わず、間抜けな声を出してしまう。


「いや、化粧だって服と同じように似合う、似合わないってあんじゃん。でも、さっきの人はいつもより化粧が濃かったから"やりすぎるな"って言いたかっただけだよ。……まあ、気合入れすぎてあんな厚化粧してたのかもしんないけど」