全部食べ終えた俺たちはデザートを頼むことに。デザートもこけねこ使用だ。これは絶対食べなくては。メニューを広げてももが席から乗り出した。

「ね、蓮くんどうする?」

 ふわっとももの香りがして勝手に胸が騒ぎだした。さっきより近い距離に思わずももの髪に手が伸びた。

 う。まずい。また勝手にももに触れようとしていた。無意識に。メニューに気をとられているももは全く気付いていなかった。ああ、よかった。そっと手をテーブルの下に戻した。今日一日中、ずっとこんな調子た。気を抜くと自分の意志とは関係なしにももに触れようとする。

「私これにしようかな。おだんご。」
「ふ。やっぱりももは和菓子だな。う~ん。俺は…プリンにする。」

 プリンを指さそうとした時、そっとお互いの手が触れた。

「っ!」

 ももがわかりやすくぴくっと反応して手を戻そうとしたが、ぎゅっと掴んだ。

「ねぇ、蓮くん…」
「ん~?」

 小さい声でももが呼ぶけど、気づかないふり。両手でももの手をむにむに触る。

「ももの手って小さくて柔らかくてかわいい。」

 なんでこんなに触ってても飽きないんだろ。むしろもっともっと触りたくなる。

「ふふ。冷たくて気持ちいい。」

 笑顔でももを見ると、また顔を赤くした。

「…蓮くんの手、あったかい…」
「そう?」

 ぎゅっと恋人繋ぎをしてみた。触れる面積が増えたからか何だかますますドキドキする。世の中の恋人たちが何でこうやって街を歩いているのが分かった気がする。もっともっと深く触れていたい。少しでも。

「ち、注文しよ。すいませーん」

 あ。店員を呼ぶと同時にももに手を離されてしまった。