♦♢♦♢♦♢

 ベットにダイブする。

 柚葉ちゃんと付き合ってないって言ったよね。どういうことだろう。二人は中学からずっと付き合ってるはず。今でもすごく仲よしだし、ラブラブだよね。

 頭が混乱して疲れた。もう寝ちゃおうかな…

 ♪♪♪♪♪♪~

 着信音に驚いて起き上がった。

「…っ!」

 着信者の名前を見てドキリとする。

「も、もしもし…」

 緊張で声が上擦ってしまった。

「今いい?」

 声までもかわいい柚葉ちゃん。

「う、うん。大丈夫だよ。」

 柚葉ちゃんから電話なんて初めて。あの公園での出来事以来初めて話す。緊張で指先がしんと冷たくなった。

「……」
「……」

 少しの間沈黙。こ、こわい。

「あ、あのさ…」
「この前はごめんね!ホントに、ごめん!信じてもらえないかもしれないけど、何もなかったよ。ただ昔がなつかしくていっしょに遊んでただけ。でも、気分悪かったよね。もうレンくんには近づかないから。柚葉ちゃんが嫌がること絶対しない。」

 柚葉ちゃんが話し出すのが怖くて、食い気味に一気に話した。私には珍しくすんごく早口で。

「……」

 また沈黙。ドキンドキン言ってる。

「違う。もう、それはいいの。」
「え?」

 どういうこと?

「正直、私、昔からももちゃんが気に食わなかったの。」
「……」

 昔から柚葉ちゃんに嫌われていることを知り、胸がずきっと痛む。

「私ってかわいいでしょ。勉強だってできるし、運動だってできる。」
「う、うん…」

 そんなの誰でも知ってること。柚葉ちゃんは中学の頃から完璧でもう私とは住む世界が違った。今ではもっともっときれいになった。こんな風に仲良くなれた今が不思議なほど。

「絶対私の方がいい女なのに…でも、蓮也の中には昔からももちゃんしかいないのよ。」

 え?

 私の戸惑いを気にせず柚葉ちゃんはどんどん話す。

「私、言ったの。何でももちゃんなのって。私のが絶対いいって。信じられないって。私の方がずっと蓮也が好きだし、蓮也に釣り合う為にすごく努力してる。それなのにももちゃんはぽやっとしてるのに急に現れてすっと当たり前みたいに蓮也の隣にいる。幼馴染だからって簡単にっ…!許せなくてっ…」
「…うん」

 感情的に言葉を詰まらせる柚葉ちゃん。レンくんのことが大好きなんだってよくわかる。胸が苦しい。

「そしたら、蓮也なんて言ったと思う?」
「え…?」

 レンくんは私のこと何て言ってたんだろう。息も吸えずに次の言葉を待つ。

「ももはすごく努力家だって。本当はももは勉強が苦手な方。小学校の頃から覚えるのが苦手で毎日コツコツ勉強してた。うちの大学に入るなんてすごく勉強したんだと思う。運動だって苦手だけど、マラソン大会や長縄大会とかは一人で毎日練習したりしてた。みんなが知らないところで努力してる。そういう所を俺はすごく尊敬してるんだ、だって…もものこともっとわかってほしいって。」
「…く…」

 息が詰まって声が出ない。うれしい。涙が出そう。どんくさくてのんびりしてる私だけど、レンくんは私のがんばりを覚えてくれてたんだ。わかってくれてる。

「そんなこと言う蓮也にまた腹が立つの。やっぱりいつだってももちゃんのことばかりなのよ。」