カフェで飲み物を買って外の席に座った。

「で?どういうこと?ちゃんと話して。」

 さきほどの鋭い雰囲気がなくなったほのちゃんが俺をじっと見た。ホントさっきは怖かった。同時にももがこの子にすごく愛されていることを感じ嬉しくなった。確かにももは友達が多い方ではないけど、気を許した友達と深く付き合う。

「柚葉とは付き合っていない。」
「え?付き合ってないの?完全にカレカノだと思ってた。」
「……」

 諒太が言っていたように周りは俺たちが付き合ってると思っているのは本当の様だ。何気にショックだ。

「いちゃいちゃしてたじゃん。」
「いや…してないよ。てか、こう言っても説得力ないか…」
「…?」

 よくわからないという顔をしているほのちゃんに苦笑いを向けた。

「俺さ、諒太が言うには人との距離が近いんだって。だから柚葉との距離も近くて付き合ってるみたいに見えたかもしれないけど、全然違うんだ。柚葉は中学からの仲だから特別ではあるけど、友達。
俺は友達としてずっと一緒にいた。俺にとって女の子として大事なのはももだけなんだ。俺が好きなのはももだけ。」
「……」

 胸がドキドキしている。口に出してはっきり言ったのは初めてだ。ももの大事な人に誤解されたくない。

「柚葉にはちゃんと俺の気持ちを話したし、これからは距離感ちゃんと考える。もう絶対ももを傷つけないから信じてほしい。それに!昔のことは…」
「ぷっ…」
「へ?」

 笑った?

「わかったよ。必死すぎ!もういいから、後はももに話してあげて。」
「う、うん…ありがとう。」

 ほのちゃんがニヤニヤしている。信じてもらえたってことだよな。よかった。

「っていうか、レンくん。笑える。あはは。そんなにモテるのにちょー不器用じゃん。」
「うっ...全然モテないから。ももが初めてだし。恋愛方面わからないよ。」
「えっ!ももが初恋?」
「う、うん…」

 そんなに驚かなくても…恥ずかしいな。この年になってこんなこと言ってんの。

「まじか…慣れてない純粋イケメンとか最高かよ…二人とも初恋とかうらやましすぎるっ…」
「えっ?」

 ほのちゃんが何か言ってるけどよく聞こえない。でも、何だか楽しそうに見える。

「それで、これからどうするの?もも、レンくん避けてるけど。」
「どうにかしてももに会わないと。直接会って話したい。」
「ももは今空き時間だから図書…って何でもない。自分で何とかして。ももを傷つけたことは許してないからね!」
「くっ…すみません。」
「あっ。そういえば最近智さんと仲いいような。早くしないと取られるぞ。」
「えっ!」

 彼女は問題発言を残してニヤニヤ笑って去って行った。

 ま、まじか。早くももに会わないと。あの人は何考えているかよくわからない。ふわっとした雰囲気に女の子の扱いがすごくうまい。うっ...二人いっしょにいる場面が頭に浮かび寒気がした。

 よし!決意新たに拳をぎゅっと握った。