『もも、話したいことがある。返事してくれ。』

 送ったメッセージにも『既読』の表示が残るのみ。メッセージ画面には俺のメッセージだけで埋め尽くされてしまっている。

 はあ~。

 大きな溜息が出る。もう何回ついたかわからない。ももと連絡が取れなくなってもう2週間がたつ。完全に避けられている。電話もメッセージも受け取ってもらえない。駅でも会わない。あんなに毎日と言っていいほど一緒に学校に行っていたのに。同じ授業でも、いつの間にかいなくなっている。

「…うっ」

 思わず声が漏れた。胸がぎりりと痛む。

 ももに完全に嫌われた。早く誤解を解きたいのに、解く機会さえも与えてもらえない。苦しい。ももに会いたい。

 小学校の時、ももはこんな気持ちだったんだろうか。俺が一方的に避けていた時。当時の傷ついたももの顔が浮かぶ。ああ。俺はももにひどい事ばかりしている。

 早くももに会って全部話したい。柚葉とは付き合ってないこと。小学校の時ももを避けていたこと。全部話したい。謝って許してもらえるかわからないけど、許してもらえるまで謝らないと。俺はももがすごく好きなんだ。もうももなしの毎日なんて無理なんだ。

『来週こけ猫のイベントだけど覚えてる?楽しみだな。』

 再びメッセージを送った。

 ホントはこけ猫なんてどうでもいい。妹なんてただの口実だし。ただももと二人で遊びに行きたかったんだ。ここに来てこけ猫でももを釣ろうだなんて卑怯だけど、もうそんなこと言ってられない。とにかく俺を避けないでほしい。

 祈るように携帯をおでこに当て、かばんにしまった。前を見ると見知った後ろ姿が。廊下を進んでいく。