「おはよ~、もも」

 今日も爽やかな笑顔でレンくんが隣に来た。朝も早いって言うのに何でこんなにかっこいいんだろうか。

「レンくん、おはよう。」

 笑顔で挨拶を返すけど、朝から爽やかにかっこよすぎる彼を前に私は内心息苦しくなった。何でレンくんは私にこんなに親しげに話しかけてくれるんだろう。卑屈になりすぎるのはよくないと思っているけどそう思わずにいられなかった。

 最近は毎日と言っていいほど駅でレンくんに会う。これまで全く会わなかったのが嘘みたい。でも、実は私も分かりやすいようにいつも同じ場所で電車を待っている。

 小学校の可愛かった幼馴染の彼は中学に上がり急に背が伸び男らしくなった。以前から人気があったけれどますます目立つようになった。小学時代から代わり映えのしない私はそんなレンくんとの差を感じ彼に苦手意識を持つようになっていった。

 小学校の時、すごく仲良かったのに急に避けられるようになった。今思うと仲良かったのもただレンくんの気まぐれだったのかもしれない。もともと住む世界が違うから。

「あ、昨日ごめんね。メッセージくれたけど、途中で寝ちゃった。」
「あはは。全然いいよ。相変わらずももは寝るの早いな。」

 優しく目を細めてレンくんが私を見る。その表情に私の胸が勝手にドキドキする。小学校の頃には感じなかった胸の高まり。大人になったレンくんにまだ私は慣れないみたい。

 今のレンくんは小学校の頃と同じように私に接してくれる。これもレンくんの気まぐれなのかな。いつかまたあの時みたいになっちゃうのかな。昔のように接してくれるのがすごく嬉しい反面、心のどこかで不安がずっとくすぶってる。