私は焦っていたんだと思う。その数日後私たちは初めてのキスをした。蓮也の部屋で。

 いつものように勉強の合間にベッドサイドで休憩がてら話をしていた。そしていつものように私から腕を絡ませた。やっぱり蓮也はそれ以上何もしてこない。その日に限ってそれがすごくイライラしたの。

 不意に目が合った時に私は目をつむった。

『……』

 蓮也が止まって私を見るのが分かった。緊張で吐きそうだった。

 一度目を開けて固まったままの蓮也を潤んだ瞳で見つめもう一度目を閉じた。さすがに鈍感な蓮也も気づいたみたいで焦っているのが雰囲気でわかった。

『…ぅ…あ…』

 声が聞こえた。ふいに静かになったと思ったら一瞬柔らかいものが私の唇に触れた。ドキドキして目を開けると、真っ赤になった蓮也が。

『あはは。何か照れる…』

 彼のテレ顔を見て私はすごく幸せになった。

『蓮也大好き』

 思い切り蓮也に抱きついた。彼も抱き締め返してくれた。蓮也の早い鼓動が聞こえた。

 これで私たちはもっと近づけた。ちゃんとした恋人みたい。きっと大丈夫。私は幸せでいっぱいだった。