二人でタクシーに乗り込んだ。

 はぁ。

 ため息が出た。何だよあの人。いちいちももにベタベタ触って。飲み会の間ずっとイライラしてしょうがなかった。

 俺の膝に頭を載せて眠るももを見る。顔にかかる髪を耳にかけた。気持ちよさそうに眠るももの顔がはっきり見えた。少し開いた唇からは規則正しい寝息が漏れる。のどの奥でぐっと変な音がした。息がうまくできない。

 触れたい。ものすごくももに触りたい。

 恐る恐るピンクに色づいたももの頬に触れた。温かい。シミひとつないすべすべの肌。ずっと触っていられそう。

 何だかもう、たまらない。ももがこうして俺の膝で寝ている。俺は一度大きく息を吐いて頬から手を離した。勝手にずっと触ってちゃだめだ。どんどん深みにはまりそうだ。

 こっちならまだいいかな。と苦笑いをしてももの手を握った。

 昔は何も考えず一緒に手を繋いで遊んだっけ。思えば小学校6年生だったのに全く子供だった。普通ならもう男女に敏感な年頃だ。手なんか恥ずかしくて繋がない。俺は本当に幼かったんだ。

 男の俺の手とは違う小さくて柔らかい手をタクシーを降りるまでずっと握っていた。