「ももっ!」
「ももちゃん?」

 ももが急に机に突っ伏して気を失った。

「え?寝てる?」

 隣の智さんがももを抱きかかえ顔を覗いた。口元からは微かに寝息が。

「あー、もぅ。脅かすなよ。ももちゃん、酒弱いじゃん。顔に出ないから全然気づかなかったよ。ごめんね。」

 智さんがももちゃんのほほをなでながら言った。

 はあ。よかった。寝ただけか。マジ、驚いた。目の前で気を失うから。俺は胸を撫でおろした。次飲むときは注意してあげないと。

「じゃ、俺、ももちゃん家に送ってくね。みんなはゆっくりして行って。」

 その言葉に焦った。内心ずっとこの人にイライラしていた。

「俺が行きます。ももの家知ってるんで。これ俺とももの分」
「え?」

 財布から一万円札を取り出し机に置いた。智さんの返事を聞かずに、強引にももを抱きかかえた。

「それじゃ、お先に失礼します。」