「このこけねこのキーフォルダーはおそろいでその時買ったんだよな。」
「そうだね。レンくんがまだ持ってたなんて意外だな。」
「そう?大事にしてたよ。もももまだ持ってたなんてうれしい。」

 はにかんで少し照れて言うレンくんに顔が赤くなってしまった。

「へ~。コイツのお陰で仲良くなったんだ。やっぱりレンクンはあの時の子だよね。」
「「え?」」

 智くんの発言にレンくんと私は声がハモった。

「ねえ、俺のこと覚えてない?一度会ったことあるよ。」
「……」

 レンくんが智くんの顔をじっと見る。

「一度二人でとも庵に来たでしょ?その時一緒に遊んだじゃん。」
「あ~!!思い出した!あのゲームの兄ちゃん!」
「あっ。そんなことあったね。」
「あの兄ちゃんが智さんだったんだ。…智さんだいぶ変わりましたね......」

 すっかり忘れてた。レンくんととも庵に行った時に初めて智くんと会ったんだった。今と雰囲気が違いすぎてすっかり忘れてた。あの頃の智くんは何と言うかすごくツンツンしてたよね。不機嫌オーラが満載だった。今はこんなに丸くなっちゃって。もう丸くなりすぎよ。

「ももがよくじいちゃんと行くっていうおいしい和菓子の店があるからって一緒に行ったんだ。へ~なつかしい。」
「あんな小さかった男の子がこんなに大きくなるなんてねぇ。兄ちゃん感動ですよ。」 
「俺、中学ですごく背伸びたんですよ。」
「あの後、ももちゃんはたまに来てくれてたけど、レンクン全然来てくれなかったからちょっとだけ気になってたんだよね。」
「……」

 うっ。一人気まずくなる。だって、その後、レンくんとは絶交状態になったんだもん。視線を感じちらりとレンくんを見ると、すごく切なそうに私を見ていた。あぅ。なに。そんな顔で見ないで。

 私はその空気に耐えられなくて残りのカルアミルクを飲み干した。

 でも、グラスを机に置いた瞬間、

「うっ」

 視界がいきなり白くなってめまいを感じ、意識を失ってしまった。