「健太郎とか知ってるんじゃない?アイツともよく飲むよ。もも知ってるだろ?」
「うん…知ってるけど。」

 もちろん知ってるよ。中学の同級生でレンくんと仲良しだったイケメンさん。同じ学年で彼を知らない人はいないと思う。レンくんの友達はみんな目立つ。みんなキラキラしてたっけ。私とは住む世界が違う。

「そうだよ。ももちゃん、今度健太郎誘って一緒に飲も?」
「え?いいよっ。私園田くんと話したこともないし。」

 柚葉ちゃんのトンデモ発言にびっくりして大げさに否定した。レンくんに会ってから交友関係が一気に広がった。

「大丈夫、大丈夫。健太郎気さくな奴だし。」
「え?え?」

 美女は押しが強い。

「あ、そうだ!健太郎、今彼女いないし、紹介したらいいじゃん。ね、蓮也。」
「え?ちょ…まって。」

 柚葉ちゃんが甘えるようにレンくんの腕をちょんちょん引っ張って言う。

「あ…?おぉ。…そうだな…」

 ちょっと!レンくんも断ってよ。園田くんなんて恐れ多すぎるっ!レンくんをうらめしげに見つめた。それなのに、目が合った瞬間、目を逸らされた。

「っていうか、ももちゃん、今彼氏いるの?」
「えっ?いない、いないよ!」

 私は柚葉ちゃんの質問に大げさに否定してしまった。恥ずかし~!今っていうか、ずっといなかったです。モテ人生を歩んできたであろう4人を前にいたたまれなくなった。

「そっか。いないんだ。よか...」
「じゃあ、いいね~。今度健太郎呼ぼっ」
「いや......」

 レンくんの呟きを元気な柚葉ちゃんが遮った。柚葉ちゃんは何でそんなに楽しそうなの...園田くんも困るだろうに。

「ソレ、俺も行っていい?ケンタロークン、気になる。」
「てか、智さん、ぐいぐい来るな。逆に尊敬する。」

 諒太くんが久々に口を開いた。

「今度計画して連絡するね!ももちゃん連絡先知らなかった。教えて?」

 柚葉ちゃんが微笑んで小首をかしげる。うっ。かわいい。

「うん。でも、紹介とかは遠慮します...」

 私の気弱な声なんて強引美女には全く聞こえてないようです。