冷たい風が首筋をなぞった。
人混みの中にいても誤魔化せない冬の寒さに、胸元のジップを口まで引き上げた。

骨ばった白い指先は、芯まで冷えて感覚がない。それでもポケットに隠すことなく、薔薇の花束を優しく抱いた。

『時間だね。』

その声に被せるように、
目の前のビル屋上から声が降ってきた。

その声は嬉々として、5つの子どもがはしゃいでるかのよう。手持ちのスマホを自身に向けながら幅30cm程度の足場をクルクルと回る。

『始まりました!のばらチャンネル、大人気のチャレンジコーナー!』

『今日のチャレンジは、嫌われものが死んだら、皆は喜ぶのか?だよ!リクエスト頂いたのは gogoレンさん!いつもコメントありがとう!』