(なんて恐ろしい)

 マリーが言っていたように、元獣人は意外とわらわら存在しているらしい。
 そして、レーヴが思う以上に多くの魔獣が恋をして、受け入れられているようだ。

 魔獣が獣人へ変わる際のデメリットを考えれば、獣人になるということが生半可な覚悟でないことは察しがつく。
 魔獣は怖くないのだろうか?
 レーヴだったら、怖い。じゃあデュークは?と思って、レーヴは不安そうな顔で彼を見上げた。

「デュークは……獣人になろうと思った時、怖くなかったの? だって、獣人になっても、その……」

「恋が成就しなければ消滅してしまうから?」

 言い淀んだレーヴに、デュークはケロリとなんでもないことのように言った。
 本当になんでもないことだと思っているのか、それともレーヴのためにわざと明るく言っているのかはわからない。
 だけど、改めて彼の口から聞かされた事実は、レーヴの心を重くした。