なにせ、ここは選ばれしエリート様たちのたまり場なのである。

 麦の穂のような金色の髪が陽の光に当たってキラキラと輝く。程よく日焼けした体は引き締まり、近衛騎士の制服を堂々と着こなしている。くりくりとした大きめの目は幼さを残しているが、薄い唇が酷薄そうに笑みを浮かべると小悪魔のように魅力的──と王都の乙女たちが語る黄薔薇の騎士様ことジョージ・アルストロが、いないわけがない。

 彼は騎士らしいさわやかな笑みを浮かべ、向かってきた。

 レーヴの異変に気づいたデュークが心配そうに覗き込んでいたが、彼女はそれどころではない。因縁の相手との再会に──わりと頻繁に再会しているが──一刻も早くこの場から脱出したいとそればかり考えていた。

 好きな人が他人に悪し様に言われたら、嫌な気持ちになるだろう。
 ジョージは必ずレーヴを馬鹿にする。レーヴは気にしないよう努めるつもりだが、デュークのことを考えたら嫌だと思った。