昼休みは短い。丘の上のベンチで仲良く並んで座っているだけじゃ、先に進めない気がする。
 恋愛初心者のレーヴに合わせてデュークがそうしているのだとしたら、やはりこちらからきっかけを与えなくてはいけないだろう。

(こんなことを考えているあたり、少なからず私はデュークに惹かれているんだろうなぁ)

 惹かれている、というより愛着といった方がしっくりとくるが。
 デュークが馬の獣人だから、そんな風に思うのかもしれない。馬はレーヴにとって、愛すべき相棒なのだ。

 レーヴとデュークは、噴水を避けるように公園の出口の方へ丘を下っていく。と、その時だった。

「おい、レーヴじゃないか」

 不意に、噴水の方から声をかけられる。
 覚えのある声に嫌悪感を抱き、レーヴは眉を寄せた。

(ああ、いやだ。なんでこんなところにこいつがいるの。いや、ここならいて当然か)