気づけば、レーヴは無意識にデュークを観察していた。
 唇の端にキャロットラペに入れていたナッツのかけらがついているのを見つけ、彼女のいたずら心がくすぐられる。

(デュークも私を驚かせたんだから……仕返しされたって文句は言えないわよねぇ?)

 いたずらを仕掛けるか、否か。
 考えるまでもない。やられたら、やり返す。それが、レーヴである。

 デュークの唇に手を伸ばし、見せつけるようにゆっくりとナッツを取った。
 キョトンとした顔がかわいい。そんな彼を挑発するようにニヤリと笑って見せたレーヴは、そのままひょいっとナッツを食べてしまった。

 目を白黒させて驚いているデュークが面白くてたまらない。見開いた目は、馬みたいだ。
 でも、慣れないことをした恥ずかしさがあったレーヴは、何か言われる前に、とデュークの口へ次のサンドイッチを突っ込んで何も言えないようにする。
 好きなものを突っ込まれたせいなのか、それともレーヴの気持ちを察してか。デュークは、突っ込まれたサンドイッチをおとなしく頬張った。