「おいしい! これは、なんという食べ物なのかな?」

「キャロットラペのサンドイッチ。にんじんのサラダを挟んだパンよ」

 褒められて、悪い気はしない。幸せそうに頰を緩めるデュークに、レーヴはホッと胸を撫で下ろした。
 すると、途端におなかが空腹を訴えてくる。
 さきほどのデュークのようにおなかの音を聞かれたら恥ずかしすぎる、とレーヴは急いで──しかしデュークに食い意地が張っていると思われないように細心の注意を払って──お気に入りのトマトとチーズとハーブのサンドイッチを手に取った。

 バゲットに挟んだ具は、時間がたってしっとりとなじんでいる。出来栄えに満足しながら隣をみれば、デュークは早くも三切れ目を口に運んでいた。

(良かった。気に入ってくれたみたい)

 今日のサンドイッチは、レーヴがパンから作った力作である。昨晩から準備した甲斐もあり、デュークの手は止まらない。馬の獣人らしくにんじんが好きなのか、キャロットラペのサンドイッチばかりが減っていく。