王都には、大きな公園が二つある。王城や高級住宅街に近い中央公園と、下町の中心にある東公園だ。
 どちらを利用しても問題はないが、場所柄、中央公園は身分が高い者の利用が多い。仕事の日は中央公園を利用するレーヴも、休日は東公園を利用することが多かった。

「東公園には市場が立つんですよ」

「では、東公園に行こう」

 そう言って微笑むデュークは、今日の日差しみたいにやわらかい。笑うとちょっとだけ幼くなって、冷たい印象が和らいで見えた。

(かわいいなぁ)

 一度失敗したせいか、二人の間の空気は初対面の時よりも砕けたものになってきていた。
 こうして少しずつ距離を縮めていくのだろうか。まずは友だちになって、それから……と考えて、レーヴは気恥ずかしくなって唇を引き結んだ。