受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 彼女の幼なじみに恋する女の子が、嫉妬のあまりひどい嫌がらせをしてきたからだ。

 まず、この晴れの日に向けて用意していた新品の軍靴を切りつけられた。
 朝起きて、さぁ履くぞとワクワクした気持ちで靴を手にした瞬間、刻まれた『大尻女』の文字にレーヴは絶句した。

 おかげで朝から使い込んだ軍靴を磨く羽目になったのだが、そのみじめさといったら!
 自室に侵入されても気づかない、自身の寝汚さにも腹が立った。

 なんとか支度を整えて寮の朝食の時間に間に合わせたものの、遅い時間のせいで残ったメニューは不人気のものばかり。
 大嫌いな緑色の野菜ジュースを飲まなくてはいけなくなり、レーヴはまたしても絶句した。
 残すという選択肢はあるにはあったが、どこであの子が見ているかわかったものではない。「女の嫉妬は最悪ね」とぶつくさ文句を言いながら、レーヴは意地で飲み干した。