さて、エカチェリーナ・ラウムの処遇だが。
 彼女は、元獣人の娘として魔獣保護団体にて人体実験を受けることに──ということはさすがになく、王族の強い希望により極刑は免れたものの、わずかばかり持っていた魔力を根こそぎ奪い取られ、騎士として今後二度と剣を持てないようにされた上で、国外追放となった。

 エカチェリーナの両親は、元獣人と元諜報部トップということで恩赦をかけられたが、彼らはそれを受け入れず、娘と同等の罪を自ら負った。
 ラウム一家の処罰は実に速やかに処理され、レーヴとデュークが帰国する前に、一家の身柄は魔術で遠い地へ送り飛ばされた。

 それは、多大なる迷惑をかけてしまったレーヴとデュークへの配慮だったのだが、彼女には不要なものだったらしい。
 戻ったレーヴは「もう一発殴りたかったのに!」と悔しそうに拳を握り締めていた。だが、その姿をうっとりとした目で見ながら「レーヴ、かわいい」と惚けているデュークを見て、戦意消失したようだった。