受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 されるがままでいるレーヴの耳に、デュークの吐息が聞こえる。
 まるで、見たくないものを見てしまった、と言われているようだ。

 デュークの視線をたどるようにレーヴも自身の胸元に視線を落とすと、左胸の心臓の上に奇妙な痣が浮かんでいた。チェスのナイトを模したような刻印だ。赤い肌が痛々しい。
 見た目ほど痛みはない。だが肌が過敏になっているようで、撫でる風がやけに気になる。

 暗くてよく見えないけれど、たぶん今のデュークは真っ青な顔をしているのだろう。
 今にも「死んで詫びる」と言いそうな情けない顔をして、レーヴの痣を見ている。

(私もデュークも生きているのだから……褒めてほしいところなんだけど)

 デュークの頰を撫でながら、レーヴは「大丈夫だから」と出来る限り優しく微笑んだ。
 つるりとした肌が、懐かしい。滑らせるようにして手で輪郭を確かめていくと、髪に埋もれた、今までの彼にはなかったものを見つけた。