「大丈夫よ。きっと、うまくいく」

 そう言ってデュークのたてがみを撫でる彼女の手つきの、なんと優しいことか。
 気持ちよさそうに目を眇め、デュークはフスンと鼻息を吐いた。

 今夜泊まる部屋へ案内しに来た大使館の人に断りを入れ、レーヴとデュークは歩き出した。
 しばらく行けば、草原に着く。

 あんなに夕日が綺麗だったのだ。夜の草原はきっと、星が瞬いて美しいに違いない。
 レーヴの話とやらが良いことでありますようにと願ってしまう自身を浅ましく思いながら、デュークはできる限り早く歩いた。