草原で速度を緩めはしたが、ロスティからディンビエまでの距離を数時間で駆けるのは強行である。というか、前例がない。
 乗馬に慣れているレーヴでも、この任務はつらいものがあった。

 ここ数日監禁されていたせいで体力が落ちていたことに加え、朝は脱獄を試み、昼は癖のある人たちのせいで精神的に疲れ、さらにデュークの魔獣化にエカチェリーナとのキャットファイトなど、今日一日でいろんなことがありすぎた。

 情けない話だが、レーヴは今、ちょっとでも休めば確実に立てなくなる自信があった。
 走っているのはデュークでレーヴは乗っているだけなのだが、乗馬にもそれなりの技術が必要である。気づかないふりをしているが、本当は膝はガクガク、明日は筋肉痛になるのは確実だった。