「デューク……」

 甘さを増していく空気に耐えかねて、デュークが加速する。
 レーヴの火照った頰を冷ますように、風が撫でていった。

 ドドッと地を踏みしめながら走るデュークの足音を耳に感じながら、レーヴはようやく、かつての相棒の背に再び騎乗できた喜びを噛みしめた。
 腿にデュークの筋肉の躍動が伝わってくる。獣人の姿をしていた時と同じ体温にホッとしたのもつかの間、どうしてそんなことがわかるんだともだえた。

(あぁぁぁぁ……私ってば、なんでこう……任務中、任務中なのよ、レーヴ!)

 タイミング悪くロディオンの「盛り上がった若者は止まらないものだ」というせりふを思い出してしまい、レーヴは耐えきれずうなる。芋づる式に馬車でデュークにお尻を揉みしだかれたことまで思い出して、レーヴはゾワワと背中を下から上へ震わせた。