受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 突然の終わりに、レーヴは納得がいかない。
 ポニーテールは解けてグチャグチャだし、引っ掻かれたせいで頰にミミズ腫れができている。
 今にも娘を叩き起こして再戦しそうな勢いの彼女に、ロディオンは「話があるのだ」と訴えた。

「この通り、娘は事の大きさを真に理解していない。私たちが至らないばかりに、あなたに不快な思いをさせて申し訳ない。娘には然るべき罰を受けさせる。納得がいかないだろうが……今は、デュークを救うことを優先させていただきたい」

「デュークを、救う……?」

 デュークの名を出されては、応じないわけにいかない。
 レーヴは転がっていたソファを起こし、それに腰掛けた。ロディオンはホッとした顔でレーヴへ「ありがとう」と言うと、エカチェリーナを絨毯の上へ寝かせる。その間レーヴは、乱れた髪を乱暴な手つきで結い直し、気持ちを切り替えるように深呼吸を繰り返した。