受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「デュークに吹き込んだ? エカチェリーナ! あんた、私だけじゃなくデュークにも手を出したっていうの⁉︎」

「そうよ、悪い⁉︎」

「悪いに決まってるでしょ!」

 レーヴは二人の間にあったテーブルを乗り越え、ソファに座るエカチェリーナに殴りかかった。
 頭を下げたロディオンの隣で、キャットファイトのゴングが鳴る。
 持ちうる体術を駆使して戦う彼女たちは、もはやキャットなどというかわいらしいものではない。刃物を持っていなくて良かったと心底思うようなありさまで、ロディオンは二人が刃物を持っていなかったことを神に感謝した。

「リーナ、やめなさい!」

「お父様は黙っていて!」