対するエカチェリーナは、いつも通り高慢な態度でツンと澄ましている。果たしてそれは演技なのか素なのか、大して親しくもないレーヴには判断がつかなかった。

「エカチェリーナはさ、もしもジョージが動物の姿になったら、好きじゃなくなるわけ? 私は、デュークが馬の姿でも構わないと思っているよ」

 ロディオンは、魔獣の姿であっても好いていると言ったレーヴに対し、信じられない気持ちでいっぱいだった。
 魔獣は、人に嫌われていることを知っている。だからこそ、それらを挽回するほどの美貌で意中の相手を誘うのだ。醜い魔獣の姿であっても好いていると堂々と言い放つ彼女の気持ちは、ロディオンの妻以上に深いものではないか、と思わざるを得ない。

「はぁ⁉︎ あなた、頭がおかしいんじゃないの? それとも、特殊な性癖でもお持ちなのかしら」