受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 今の姿では慰めることもむずかしい。もっとも、人の姿をしていたってできるかどうかも怪しいが、少なくとも抱きしめて共感することくらいはできたはずだと思い直す。
 しばし逡巡した後、デュークは彼女の髪を甘噛みした。

 出会ったあの日にそうしたように、彼女には笑ってほしかった。
 レーヴは責めるようにデュークを睨んだが、拒絶する様子は見せない。それどころか再びデュークの首に抱きついてきて、泣き濡れた顔を押し付けてくる。

 彼女の涙がデュークの艶やかな毛を濡らす。
 けれどデュークは構わないと思った。彼女の涙が拭えるのなら、濡れることなんてなんてことはない。

 どうしてこうなってしまったのだろう。

 デュークがいけなかったのだろうか? ジョージという存在を知りながら、それでもレーヴを諦めきれなかった自分が。